「やまんすまで？」
「へー！大変だな」
「金曜日には出てきてね」

　＿|￣|○

末っ子のS叔父さんがお嫁さんをもらったのは、他の兄弟より遅かった。
やっとS叔父さんにかわいらしいお嫁さんが来たと、
子供心によく覚えている。

子供が生まれるまでは、Sお姉さんと呼んでいた。
昔から仲のよい兄弟たち、家も近いので、家族ぐるみでよくつるんでいた。

まだヨチヨチしてワンパク盛りの男の子2人は、
もう立派な青年に成長し、向こうはどこのおばさんだか、
言われるまで気づかなかったようだ。

****ギリギリ******

今日は楽しくないモンちゃんツー。
父上本当なの？
ついこの前まで元気だったじゃないの。

「バイクでよく来たね」

ってニコニコいつもどおりお話した。

母親が見るなり、

「そんな格好で！」

と変なオバサンスーツを出してくる。
さらに変なパンプスを履かされて、
頭をどうにかしろとの指示はスルー。

ちょうど出棺の準備中で、ようやくS叔母さんに対面。
S叔母さん！本当なの？

棺を閉める時、火葬場の釜前で、ああこれが天国への扉なんだ、
今まで散々見てきた光景だけれど、本当に自分のよく知っている、
大好きな人が、この扉の向こうに行ってしまう。

「最後のお別れです」

そう、人から仏になる、S叔母さんさようなら。

棺に向かって泣きながら話しかけるS叔父さん、
遺影を抱え、外の煙突をいつまでも見上げて、
ずっと嗚咽しているE君、
そんな残された遺族を見ているのが、本当に心が痛くてつらくて、
後から後から、涙が溢れ出すのです。

「おくりびと」のお手伝いの経験のおかげで、
少し冷静でいられる気がしたけれど、あんまり関係ない。
けどああいう冷静な、赤の他人がお世話してくれるのは、
本当に助かると思うわ。

骨は丈夫で太くて多くて、壷にいっぱい、
元気そうに見えたけど実は、もう10数年闘病していて、
運動したり体鍛えたり、病気に打ち勝つために、いろんな努力をしていたんだって。
それでも癌は、あっという間に叔母さんを連れて行ってしまった。

享年55歳、若すぎるそして早過ぎる別れでした。

******喪服*******

「ちゃんとしたのを持ちなさい」

準備したらとたんに近しい人が、なんてことがありそうで、
なかなか機会もなく後回しにしてきた。
黒いスーツといえば金ボタンとかサテンとか、
今まで略式で済んできたけれど、もうそんなことは言っていられない。

祖父祖母、叔父叔母、そうなればいつかは、
自分の親兄弟の順番が回ってくる。

認めたくないけれど、受け入れなければいけない現実。

いつも人が来ると吠えまくるポチ君も、今日は静かに、
お母さんを見送ってくれています。

　ブサカワ！

フラッシュがまぶしくてイヤみたいで、
ちゃんとカメラを見てくれたのがコレ。

　本当はこんな

****つるりんぐ*****

バイクは乗り出すまでに時間がかかりんす。
さらに父上の持って行け攻撃で、タンデムがすごいことに。

「この前のと違うな？」
「どこの？ヘェー！」
「ナンシーシー？ヘェー！」
「昼間見たいな」

いいよ叔父さん、また来るからね。
そうこうしているうちに、東京組に置いていかれ、
1台の白いワゴンが、

「一緒に帰ろうと思って」

ああなんていい子なんだ。
最後に会ったのは君が中学生？
車を運転してるのがビックリですよ。

「お姉ちゃんもバイクなんてイメージなかったから」
「誰かぜんぜんわからなくて」

そうよね。
ピアノが好きな髪の長い少女。
みんなに教えてやってよ。

「バ、バイクで？」
「●崎から来たの？」

お兄ちゃんたちもビックリ。
ていうか葬式にバイクで行かないもの？
名古屋の結婚式にもバンちゃんで行ったけど、
急な出撃にはバイクが一番速いんですわ。
みんなだって車で来てるじゃないの。
4輪か2輪の違いじゃんね？

子供のころよく遊んだきり、20年も会っていないと、
もうどこの誰だかわからなくなってる。
バイクに乗っている以外、

「さと姉ちゃんは変わらないよ～！」

T君！
本当イイ子に成長したね(つД｀)

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